「あの日、奏でた音色を」のあらすじ
まふゆを救うために曲を作り続ける奏。そんな奏の元へ、祖母から連絡が入る。進級したこともあり、そろそろ奏自身のことを考えてみてほしいと言われた奏は、自分の今後のことを改めて考えてみるが——。
プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク【プロセカ】
前回のイベント「水底に影を探して」の要点まとめ
- ニーゴ全員進級、セカイには新たに湖のような場所が生まれる
- 瑞希、「逃げた先」でどうするべきかを模索
- 絵名、絵描きとしての進路を決める分水嶺に立つ
- 奏、自身の家にまふゆを迎え入れた後の向き合い方を探る
- まふゆ、苦しみながらも過去の記憶と対峙する
「水底に影を探して」は、進級後のニーゴメンバーそれぞれの現在地の確認と、これから進んでいく方向を指し示すお話でした。
まふゆ父、なんてまともな人…!
開幕まふゆ父、父親に味覚障害を打ち明けることができたのは、まふゆにとって大きな進展だろう。しかしまふゆ父、まふゆに対して話すことを無理強いしないし、予想だにしなかった答えが返ってきても冷静に受け止める。
少し前のどん詰まり感が嘘のように絡まった糸が解けていくものの、本当にこのまますんなり終わる?という疑念は捨てきれない。父親との対面後のまふゆの疲弊具合からして、少なくともこれまで家の中でもまふゆに寄り添ってくれていた訳ではないだろうし。確かに自分の中で抱え込んでるうちは重大なことのように思うけど、話してみたらあっさり解決するようなことは現実ならよくある話。しかし創作の中で数年間ストーリーの軸として描いてきた問題がこんなヌルっと終わるとは思えないというひねくれた考えも混ざってしまう。
とはいえ穂波だったり父親だったり、ニーゴ以外の人にも苦しみを知ってもらえつつあることで状況は加速していきそう。混合イベに期待。
奏自身の幸せ
そんな折、祖母から問いかけられたのは「奏自身の幸せ」。ルカが「自分から望んで囚わたままの子もいるみたいだけれど」と評するように、「誰かを救える曲」と、救われる対象から自分を外してきた奏。さらには「作り続けなければいけない」と自分の意志も排除してきた奏は、祖母からの問いへの答えを見つけられない。
高校を卒業しても音楽を作り続けることに変わりはないが、なぜ音楽をつくるのかという理由を求め、かつて家族で過ごした幸せな時間に思いを馳せる。
想いを殺す者を許さぬ者がふたり
父親の誕生日にサプライズでプレゼントをあげようとしたのが、奏の初めての作曲のきっかけ。音楽に囲まれた家族での時間が大好きで幸せだった。だから両親の喜ぶ顔が見たくて音楽を作り続けた。自身の原体験を思い出した奏だが、同時にそれが父親を苦しめる結果になってしまった負い目は消えないし、あたたかい時間はもう戻ってこない。奏は再び心に蓋をしてしまう。
しかし、自分の気持ちに嘘をつく人間を見逃さないし許さない存在が奏の近くには2人いる。それはKAITOと東雲絵名。KAITOは「お前がいつもまふゆに『想いを大切にしろ』と言っているだろ」と、絵名は「父親のことと奏の幸せは別だ」とそれぞれ奏に訴えかける。いつしか絵名の呼びかけは「K」から「奏」へと変わっていた。「同じサークルの仲間」ではなく「大事な友達」のひとりとして、「ここを逃すと取り返しがつかないことになる」と絵名の本能が告げたのかもしれない。
初期は奏に依存気味だった絵名が、奏に対して違うことは違うと言える関係を築けたのも、奏の曲に支えられた絵名の精神的な成長あってのもの。「自分を救った奏自身が幸せにならないのはおかしい、なぜならそうじゃないと自分が嫌だから」という必殺の絵名式ロジカルシンキングは、かつて愛莉や彰人、瑞希を救ったように奏の心も動かす。
もし、元に戻れるなら
奏の幸せを願う2人の真っ直ぐな言葉を受けて、自分の中にある期待を少しだけ許せるようになった奏。そんな奏が持ってきた「ニーゴにしては明るすぎる」曲を聴いて、KAITOも思わず笑みがこぼれる。
「誰かを救える曲を作る」ためにニーゴを結成し、ニーゴとして活動する中でメンバーはそれぞれ奏の曲の影響を受け、その結果奏の周りには彼女の幸せを願う人が多くいる。それ自体が奏にとって大きな救いだったのだなと。
正直奏の自己犠牲思考に関してはもっと時間がかかる問題だろうと思っていた。しかし、この2人のベクトルが一致して行動したら突破できない壁などないだろうという圧倒的納得感。そして、奏の精神が直接的に成長したというよりは、これまでやってきたことで生まれた絆が回り回って奏を救うという展開も美しくて大好きなストーリーでした。
サイドストーリーでは絵名が慎英と向き合う時が近いことをほのめかすような描写もあり。次のニーゴ箱イベはおそらく絵名バナーということで、最高の東雲絵名を期待しつつよいお年を。
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