「好きだ、フレイア。一緒に生きてほしい」

宴の最中、フレイアとハヤテは2人で抜け出す。フレイアが案内したのは、祖母や両親、そして自身が植えたりんごの畑だった。
ハヤテの父親からの手紙をなぞり、短い言葉のやり取りで心を通わせる2人。ウィンダミアに伝わる「風の神様と村娘の切ない恋の歌」を歌うフレイアの姿を見て、ハヤテは「好きだ、フレイア。一緒に生きてほしい」と、真っ直ぐな想いを伝える。フレイアは「りんごの花は、パッと咲いてすぐ散っちゃう」と、地球人であるハヤテとの生きる時間の違いから躊躇する様子を見せる。そんな迷いを断ち切ったのは、ハヤテの「どんなフレイアも好きだ」という言葉だった。ハヤテの気持ちに応えることを決めたフレイアだったが「私も…」と言いかけたところで、正体不明の敵の襲撃により中断される。
防衛で力を使い果たしたウィンダミアの司祭・ヨハンの死や、燃え上がるりんご畑から拾い上げた種を巡るハヤテの「何十年かかっても」という発言は、改めて地球人とウィンダミア人の違いを浮き彫りにした。
ハヤテと一緒にいられなくなるのが怖い

襲撃者の正体は、レディMに反感を持つ組織「ヘイムダル」と、非合法のシャロン・アップル型量子AIシステムに星の歌い手の細胞を組み込んだ「闇の歌い手」だった。闇の歌い手は、ワルキューレの生体フォールド波に干渉・学習したことで5体に分裂、「超ダークエンジェル Yami_Q_ray(ヤミキューレ)」を名乗る。
工場衛星での戦闘は、ワルキューレ5人に匹敵するほどの強力な生体フォールド波、ヤミキューレの歌で強化される機体に劣勢を強いられる。劣勢の中、ハヤテの危機を感じたフレイアは生体フォールド波を極限まで高める。その歌はハヤテの意識を暴走させることと引き換えに感覚を拡張、周りがスローモーションに見えるほどの異常な動きを可能にした。
ハヤテの奮戦もありなんとか撤退に成功するも、代償としてフレイアの全身に結晶化が進み、生体フォールド波の高まりに耐えられないほどに消耗してしまっていた。最終決戦はフレイア抜きで臨むことに決まるが、歌で人を救うワルキューレであり続けるため、フレイアは病室を抜け出す。
姿を消したフレイアを探すハヤテの目に映ったのは、これまで見たことのないフレイアの姿だった。今その瞬間だけを見て生きてきたフレイアだったが、ハヤテから告白を受けたことで、2人で過ごす未来に考えが向くようになる。1分でも1秒でも長く歌い続けるという信念、ハヤテと一緒にいられなくなることへの恐怖、2つの感情に押し潰されそうなフレイアをハヤテは抱きしめ、歌うことを止めて一緒に生きようと伝える。フレイアの「ハヤテは飛ばずに生きていけるのか」という問いかけには答えることなく。その裏には「戦いを止める歌じゃない、普通の優しい歌をワルキューレが歌うために戦いを無くす」というハヤテの覚悟が隠れていた。
私にとって生きるってことは、ワルキューレとして歌うってことなんよ

一度はフレイアを戦場から引き離したハヤテやワルキューレだが、戻ってきたフレイアの「ワルキューレとして歌うことが、生きること」という決意を受け、共に生きる意思を固める。「俺が守る!ワルキューレを守るのがΔ小隊だ!」「飛んでハヤテ!私歌う!」2人の想いは1つとなり、共鳴による暴走も、フレイアとの思い出がハヤテの意識を繋ぎ止めた。
命を燃やすフレイアの歌はウィンダミアまで広がる大合唱へと変わり、伝説のルンの花を咲かせる。それはフレイアの生体フォールド波を解析して生まれた闇フレイアも例外ではなく、ハヤテやフレイアの「一緒に生きる」という意思を学び取った闇フレイアも合唱に加わる。この時、細胞のみの存在だったヤミキューレに肉体が生まれ、主人格が闇雲から闇フレイアに入れ替わるような様子も見られた。力の限り歌いきったフレイアは、ハヤテの帰還を見届けた後「心から、愛してる」の言葉とともに意識を失う。
戦いは終わり、目を覚ましたフレイア。その目に映ったのは、ハヤテの顔とヤミキューレのコアとなっていた赤ん坊だった。フレイアの歌で受けた影響からか、その頭にはハートのルンが伸びている。「歌が救った命だ」と言うハヤテ、自身の歌で未来を繋ぐことができて満足気なフレイア。結晶化により真っ白になった衣装は、ウエディングドレスを着ているようにも見える。
ハヤテの腕の中、一生で一番の愛を伝え、最初で最後のキスを交わした後、フレイアは風に召される。その胸に置かれた手はワルキューレサインのままだった。最期の瞬間までワルキューレであり続けた少女を見送り、残された4人はこれからも「5人で1つのワルキューレ」として、命の歌を歌い続けることを誓う。
時は経ち、フレイアがハヤテに見せたいと言った、満開の花が咲くりんご畑で言葉を交わすハヤテとヤミちゃん(仮)。ハヤテの笑顔とヤミちゃん(仮)の「覚悟するんよ!」の言葉でマクロスΔの物語は幕を閉じた。
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